「アパートの解体はどのくらいかかる?」
「アパートの解体工事の流れは?」
はじめてアパートの解体を考えている場合、どのくらい費用がかかるのか、どのように進めればいいのか分かりませんよね。
アパートの解体工事費用は、構造や現場の状況などによって変動があります。また、直接的な工事費用以外にも、仮設足場の設置費用や、発生した廃棄物の処分費などがかかります。
そのためアパートの解体工事を実施する際は、おおよその費用や必要な工事内容を専門業者と確認し、解体計画の立案をおこなうことが重要です。
本記事では、アパートの解体工事の費用相場や内訳、解体工事費用を安く抑えるポイントについて解説します。
アパートの解体費用の相場
アパートの解体は、構造によって解体費用が大きく変わります。基本的に、耐久性が高いアパートほど解体費用は高くなるため、事前に構造を確認しておきましょう。
以下は構造別の解体費用の相場です。
| 構造 | 解体費用相場(1坪あたり) |
| 木造 | 3~5万円 |
| 鉄骨造 | 5~7万円 |
| 鉄筋コンクリート造 | 5~10万円 |
それぞれ詳しく解説します。
木造アパート
木造アパートは、1坪あたり3〜5万円が相場です。
木造は解体しやすく、解体で使われる一般的な重機で取り壊せるため、費用は比較的安価です。
ただし、2006年以前に建築されたアパートの場合、アスベストが使われている可能性があるため注意が必要です。アスベストは繊維状の建材で、80㎡以上の建物を解体する際にはアスベストの事前調査が義務付けられています。
万が一アスベストの含有が認められた場合には、費用が相場よりも高くなります。
鉄骨造アパート
鉄骨造アパートは、1坪あたり5〜7万円が相場です。
鉄骨造は木造よりも解体に手間がかかり、時間も要することから費用が高くなります。また、鉄骨造のなかでも重量鉄骨造と軽量鉄骨造の2種類に分けられますが、重量鉄骨造の方が高くなりやすいです。
鉄筋コンクリート造アパート
鉄筋コンクリート造アパートは、1坪あたり5〜10万円が相場です。
鉄筋コンクリートは非常に強度が高く、居住者からすると安心感は高いものがあります。しかし、強度が高い分、解体に関してはかなり手間と労力が必要です。また、取り壊すにあたって特殊な重機が必要となるケースもあるので、費用も高くなりやすいのです。
アパート解体費用の内訳
アパートの解体費用は業者によって変動がありますが、一般的には以下のような内訳になっています。
- ・解体工事費
- ・仮設工事費
- ・廃棄物処分費
- ・整地費用
- ・諸経費
解体工事費
解体工事費用は、住宅本体を取り壊す費用のことです。基本的には、「延べ床面積×坪単価」で費用が計算されます。
ただし、先ほども触れたように、構造によって費用が大きく変わります。基本的に、耐久性が高いアパートほど費用は高くなります。
また、敷地の立地条件や周辺環境も影響します。たとえば、周囲に建物が密集していたり、敷地が狭かったりすると、解体に必要な重機が使えません。その場合、多くの人手が必要となる・時間のかかる解体作業となるので、費用が高くなるケースがあります。
仮設工事費
仮設工事費は、解体工事をおこなうために必要な仮設設備の設置・撤去にかかる費用です。
高所作業をおこなうための足場の設置や、地盤が悪い場所への敷鉄板、飛散養生シート・防音シートなどが含まれます。
解体工事はどうしても振動や騒音、粉じんの発生が避けられません。もちろんできる限り細心の注意を払って工事を進めますが、近隣住民に迷惑や不便をかけてしまう可能性が高いです。
そのため仮設工事は、近隣に迷惑をかけずに安全に工事を進めるための大切な工程です。
廃棄物処分費
廃棄物処分費は、発生した建築材料(瓦、木材、コンクリート)や廃棄物を処理するのにかかる費用です。
アパートを解体した廃材を処分する場合は、家庭ごみとは違い「産業廃棄物」として適切に分類したうえで処分する必要があります。費用は、廃棄物の種類や量、処理方法によって異なります。
また、発生した建築材料(瓦、木材、コンクリート)の処分は、種類ごとに分別して廃棄しなければいけません。これを「分別解体」と言い、一定の工事において義務化されています。
分別解体を実施しなかった場合、法律違反として罰則が科されます。解体をおこなった業者だけでなく依頼した施主も対象なので、廃棄物処分費のなかに分別解体の費用も含まれているか確認しましょう。
整地費用
整地費用は、解体工事が終わった後に土地を整えるためにかかる費用です。
解体工事後は、土地内に細かな建築材料や廃材の破片が残されています。そのままでは、土地を売ったり、有効活用したりできないため、土地をきれいに整える必要があります。
また、きれいに整える作業に加えて、地中に埋まっている廃材を確認・撤去する作業も含まれます。大きな段差をならす場合や地盤改良などが必要なケースでは、整地費用が高額になることもあります。
諸経費
諸経費は、上記の費用以外にかかった経費のことを指します。たとえば、官公庁への申請費用や近隣住民への粗品代、トラックや重機の駐車場代などが含まれます。
アパート解体の流れ
アパートの解体工事をおこなう際は、事前に手順を把握しておくと円滑に工事を進められます。以下は、アパートの解体工事の一般的な流れです。
- 業者の選定
- 入居者への通達
- 現地調査・解体計画の立案
- 工事に必要な届出・申請の実施
- 近隣住民への挨拶・説明
- 解体工事の事前準備(ライフラインの停止手続き・仮設足場や防音シートの設置 など)
- アパートの解体工事
- 廃材処理と整地
このなかで非常に重要なのが「入居者への通達」です。入居者がいる場合、全世帯に解体に伴う賃貸借契約解除を通達しなければいけません。
通達は退去してもらう6ヶ月前におこなうことが法令で定められていますが、交渉の時間を踏まえると1年前には通達し、説明していくことを推奨します。
場合によっては、立ち退き料を支払わなければいけないケースもあります。立ち退き料は必ず支払う義務があるわけではなく、円滑に交渉が進めば必要ありません。
しかし実際は、入居者が転居するために必要な引っ越し費用や、敷金、礼金、仲介料などの負担が発生します。そのため、立ち退き料を請求されることも考えておかなければなりません。
金額に明確な決まりはありませんが、おおむね家賃の6ヶ月程度が相場となっています。ただし、入居者との交渉がうまくいけば、もっと安くできるケースもあるでしょう。
アパートの解体費用を安く抑えるポイント
アパートの解体の際、解体費用は大きな負担となることがあります。ただ、いくつかポイントをおさえておくことで、費用を安く抑えることが可能です。
以下の4つのポイントを抑えましょう。
- ・複数の業者から見積もりを取る
- ・自社施工の業者に依頼する
- ・残置物は居住者に処分してもらう
- ・補助金や助成金の活用を検討する
それぞれ詳しく解説します。
複数の業者から見積もりを取る
解体業者に見積もりを依頼する際は、最初からひとつの業者に絞るのではなく、複数の業者から見積もりをとって選定をおこないましょう。
複数の見積もりをとることで、料金や含まれているサービス内容が比較できます。また、料金の内訳の説明や対応の仕方、知識・経験の豊富さなど、業者の雰囲気を確認することにもつながります。
自社施工の業者に依頼する
アパートの建て替えにともなう解体工事をおこなう場合、新しいアパートの建築を依頼するハウスメーカーにまとめて依頼するケースが多いです。しかし、費用を抑えたいのであれば、解体工事は別の専門業者に依頼するのがおすすめです。
ハウスメーカーに依頼した場合、解体工事はハウスメーカーから依頼された下請け業者が実施します。そのため、請求される料金には仲介手数料が含まれており、費用が割高になります。
自社施工の解体工事専門業者に直接依頼すると、仲介手数料が発生せず、その分費用が抑えられます。
また、専門業者は解体工事のプロなので、専門的な知識や豊富な経験からもっとも効率のよい工事を立案・実施してくれます。そのため無駄な費用がかかりにくく、ハウスメーカーに依頼するより費用を抑えられる可能性が高いです。
残置物は居住者に処分してもらう
残置物や不用品などの処分まで業者に任せてしまうと、処分にかかる費用が追加料金として請求されます。
そのため、残置物や不用品などは居住者に処分してもらうようにしましょう。事前に撤去・処分してもらうことで、無駄な料金が発生しません。
補助金や助成金の活用を検討する
自治体によっては、アパートの解体工事に対して補助金や助成金が設けられているケースもあります。
たとえば、東京都墨田区では「老朽危険家屋除却費等助成制度」として、老朽化していて倒壊する危険性がある建物に対し、除却費用の一部を補助する制度を設けています。住宅地区改良法に規定する「不良住宅」に該当する条件をクリアすると、除却工事費の2分の1(上限50万円)の助成が受けられます。
建築物の解体時に利用できる補助金制度・助成金制度は多々あるので、利用できる制度があるならば積極的に利用することをおすすめします。
まとめ
アパートの解体工事費用は、構造や現場の状況などによって変動があります。以下は構造別の解体費用の相場です。
| 構造 | 解体費用相場(1坪あたり) |
| 木造 | 3~5万円 |
| 鉄骨造 | 5~7万円 |
| 鉄筋コンクリート造 | 5~10万円 |
基本的に、耐久性が高いアパートほど解体費用は高くなるため、事前に構造を確認しておきましょう。
また、直接的な工事費用以外にも、仮設足場の設置費用や発生した廃棄物の処分費などがかかります。
おおよその費用や必要な工事内容を専門業者と確認し、解体計画の立案をおこなってスムーズに解体工事を進めていきましょう。