解体工事でアスベストが発見されたら?調査・除去の流れと費用を詳しく解説!

解体工事を進める際、築年数の古い建物では「アスベストが使用されているのではないか」「発見された場合はどう対処すべきか」といった不安を抱かれる方も多いのではないでしょうか。

アスベストは昭和30年頃から平成18年まで幅広く建材に使用されており、取り壊されている建物の多くで含有の可能性があります。令和5年10月からは有資格者による事前調査が義務化され、適切な手続きを踏まずに解体工事を進めることはできません。

しかし、正しい知識と適切な対策により、アスベストが発見されても安全に解体工事を進めることが可能です。本記事では、義務化された事前調査のポイントや、発見時の対応、除去費用まで詳しく解説します。安全で確実な解体工事を実現するための参考にしてください。

解体作業で問題となるアスベストとは?

アスベスト(石綿)は、昭和30年頃から平成18年まで約50年間にわたって建築材料として幅広く使用された天然の鉱物繊維です。耐火性、断熱性、防音性に優れているため、屋根材、外壁材、天井材、配管の保温材など、建物のあらゆる箇所で使われてきました。

しかし、アスベスト繊維を吸入すると肺がんや中皮腫などの深刻な健康被害を引き起こすことが判明し、現在は製造・使用が全面禁止されています。解体時には繊維が空気中に舞う可能性があるため、厳格な調査と対策が法律で義務付けられています。

特に昭和50年〜平成初期に建築された建物では使用確率が高く、適切な調査をせずに取り壊しを行うと法令違反となるため、十分な注意が必要です。

解体工事ではアスベストの事前調査が必須に

令和5年10月の法改正により、解体作業におけるアスベスト対策がこれまで以上に厳しく求められるようになりました。以前は業者側の判断に任されていた部分もありましたが、現在は解体・改修を伴うすべての工事で、専門資格を持つ調査員による事前調査が必要です。

このルールが導入されたことで、作業の安全性は確実に高まりました。一方で、調査費用や工期の延長など、建物所有者の負担も増加しました。しかし、適切な調査を怠ると法的責任を問われるだけでなく、作業員や近隣住民の健康被害につながる重大なリスクがあります。

ここでは、義務化された事前調査の詳細について見ていきましょう。

令和5年10月から有資格者による調査が必須

令和5年10月1日以降、解体工事やリフォーム工事を行う際、有資格者によるアスベスト事前調査が義務化されました。調査を行えるのは「建築物石綿含有建材調査者」「石綿作業主任者」などの国家資格保持者に限定されており、無資格者による調査は認められません。

この規制強化により、延床面積80㎡以上の工事では調査結果の行政報告も義務付けられています。違反した場合は30万円以下の罰金が科せられるため、解体業者は必ず有資格者による調査を実施する必要があります。なお、この事前調査の義務は建物の大小に関係なく適用されるため、一般住宅のような小規模な工事でも例外ではありません。

調査の進め方と提出が求められる報告

アスベストの有無を確認する事前調査は、書面調査、目視調査、必要に応じた分析調査の順で実施されます。

まず設計図書や過去の改修履歴から使用建材を特定し、現地での目視調査で建材の種類と使用箇所の確認が必要です。判断が困難な場合は、建材のサンプルを採取して専門機関で分析調査を行います。

延床面積80㎡以上の解体工事では、調査結果を「石綿事前調査結果報告システム」から電子申請で報告する義務があります。報告は工事着手前に行い、調査者の資格証明書や調査結果報告書の添付が必要です。

また、発注者への調査結果説明も元請業者の義務として定められています。

調査費用の相場

アスベスト事前調査の費用は、建物の規模や構造によって異なりますが、一般的な住宅では5万円~15万円程度が相場です。書面調査と目視調査のみの場合は比較的費用を抑えられますが、分析調査が必要になると1検体あたり3万円~5万円の追加費用が発生します。

大型建築物や複雑な構造の建物では、調査箇所が多くなるため20万円を超える場合もあります。ただし、調査費用を惜しんで適切な調査を行わないと、後に高額な除去費用や法的リスクが生じる可能性があるため、資格を持つ専門家にしっかりとした調査を依頼することが大切です。

アスベストが見つかった際の解体工事の進め方

事前調査でアスベストが発見された場合、通常の解体工事とは異なる特別な手続きと対策が必要です。飛散防止を最優先とし、法令に基づいた厳格な工程を踏む必要があるため、工期も大幅に延長されます。

アスベストのレベル(危険度)によって作業内容は変わりますが、いずれの場合も行政への事前届出から始まり、近隣への告知、飛散防止対策、除去作業、廃材処理まで、すべての工程で専門的な知識と技術が求められます。

ここでは、アスベストが見つかった場合にどのような流れで工事が進むのかを詳しく解説していきます。

行政への届出と近隣住民への告知

アスベスト含有建材が発見された場合、工事開始の14日前までに都道府県または政令指定都市への届出が義務付けられています。届出書には建物の概要、アスベストの種類と使用箇所、除去に用いる作業方法、予定している工期などを詳しく記入し、調査結果報告書とともに提出します。

同時に、近隣住民への事前説明も重要な手続きです。工事内容、期間、安全対策について丁寧に説明し、理解を得る必要があります。現場には作業内容を示す掲示板の設置も義務付けられており、通行人や近隣住民が工事の詳細を確認できるようにしなければなりません。

説明を怠ると近隣トラブルの原因となるため、十分な時間をかけた事前協議が重要です。

飛散防止対策とクリーンルームの設置

アスベスト除去作業では、繊維の飛散を完全に防ぐための厳重な対策が必要です。作業区域を密閉し、負圧除塵装置を設置してアスベスト繊維を外部に漏らさない環境を構築します。特にレベル1など危険性の高いケースでは、クリーンルームの設置が必須です。

作業員は防じんマスク、保護衣、保護手袋などの完全防護具を着用し、作業前後には除染エリアでの清拭が義務付けられています。こうした厳重な管理体制により、作業者自身と周辺地域の安全を保ちながら、アスベスト除去が進められます。

除去作業と廃材の適正処理

アスベスト除去作業は、湿潤化による飛散防止を徹底しながら慎重に進められます。除去工法、封じ込め工法、囲い込み工法の中から、建材の種類と状況に応じて最適な方法を選択します。除去後は作業現場の徹底清掃を行い、アスベスト繊維が残留していないことの確認が必要です。

また、除去されたアスベスト含有建材は、種類によって「特別管理産業廃棄物」または「産業廃棄物」として分類され、それぞれ適切な許可を持つ処理業者に委託する必要があります。廃材は二重梱包により密封し、アスベスト含有廃棄物であることを明示したラベルを貼付して運搬します。

アスベスト除去費用の目安とレベルごとの違い

アスベスト除去費用は、アスベストの種類によって大きく異なります。アスベストは飛散しやすさを基準にレベル1〜3に区分されており、危険性が高いほど対策が厳重になり、費用も高くなる傾向があります。

もっともリスクが高いレベル1は、厳しい飛散防止措置が必須となるため、除去費用も最も高額です。レベル2は中程度の管理が必要で、レベル3は比較的簡易な処理で済むため費用を抑えられる場合が多いのが特徴です。

いずれのレベルであっても、専門知識を持った業者による適切な処理が欠かせません。安易な判断は重大な健康被害につながる可能性があります。ここでは、各レベルの特徴と費用相場について詳しく見ていきましょう。

レベル1(吹付けアスベスト)|危険性が最も高く、費用も最大

レベル1に分類される吹付けアスベストは、わずかな衝撃や揺れでも繊維が大量に舞う極めて危険な建材です。そのため必要となる対策も非常に厳しく、除去費用は坪単価5万円〜10万円と最も高額になります。ボイラー室や機械室の天井、鉄骨の耐火被覆材として使用されるケースがよく見られます。

除去作業ではクリーンルームの設置、負圧除塵装置の稼働、作業員の完全防護が義務付けられており、工期も長期間を要します。また、作業前後の大気濃度測定や除去後の清掃作業も徹底して行うため、30坪の住宅でも200万円~300万円の除去費用がかかる場合があります。

レベル2(保温材等)|中程度のリスクで専門的な対策が必要

レベル2は配管やボイラーの保温材、煙突の断熱材などに使用されるアスベストで、レベル1ほど危険性は高くありませんが、除去費用は坪単価3万円~6万円程度となります。湿らせて飛散を抑える処理や、作業空間をしっかり密閉する作業が求められます。

作業では隔離養生や負圧除塵装置の設置を行い、作業員は防護服を着用します。レベル1ほど厳重ではありませんが、適切な飛散防止策を講じる必要があるため、一般的な住宅では50万円~150万円程度の除去費用がかかります。

レベル3(成形板等)|比較的リスクが低く、対処しやすいタイプ

レベル3は屋根材、外壁材、天井板などの成形板で、アスベストが固く結合しているため飛散リスクは低く、除去費用も坪単価1万円~3万円と最も安価です。一般住宅で最も多く見つかるアスベスト含有建材で、適切な手順を踏めば比較的安全に除去できます。

作業を行う際は、建材を割ったり砕いたりせず、そのままの形で取り外すことが基本となります。また、必要に応じて湿らせることで飛散をより防ぎます。特別な隔離設備は不要ですが、作業員の保護具着用や周囲への飛散対策は必須です。30坪の住宅であれば30万円~100万円程度で除去可能で、工期も短縮できます。

ただし、レベル3でも専門知識を持つ業者による適切な処理が重要です。

まとめ|適切な調査と除去で安全な解体を実現しましょう

解体工事におけるアスベスト対策は、令和5年10月の法改正により大幅に強化され、有資格者による事前調査が義務化されました。アスベストが発見された場合は、危険度(レベル)に応じた方法で除去を進める必要があり、費用も大きく変動します。

しかし、正しい知識と信頼できる専門業者への依頼により、安全で確実な解体工事を進めることが可能です。調査費用や除去費用を惜しんで適切な対応を怠ると、法的責任や健康被害のリスクが生じるため、必ず有資格業者による徹底した調査と除去を実施しましょう。

適切な手続きを踏むことで、作業員と近隣住民の安全を確保した解体工事を実現できます。

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