家の解体にお祓いは必要?お祓いをした方がよいケースや実施の流れを詳しく解説

「家の解体工事のお祓いって必要?」

「お祓いってどうやってやるの?」

はじめて解体をおこなう際、お祓いは必ず実施しなければいけないのか、どのように実施すればいいのか分かりませんよね。

結論からいうと、家の解体時のお祓いは必須ではありません。古くからおこなわれている行事ですが、現代では慣習も薄れています。ただ、長年住んだ土地や建物への感謝を伝える意味もあるため、「気持ちの整理をしたい」という場合はお祓いをすることで新たな出発への心の準備ができますよ。

本記事では、家の解体時のお祓いの必要性や実施した方がよいケース、お祓いを実施する方法などについて解説します。

家の解体時はお祓いが必要?しないとどうなる?

「お祓い」は古くから日本に伝わる宗教的な儀式で、 罪やけがれ、災厄などを取り除き、場や身を清める行為です。

家の解体時にも実施されますが、これには長年住んだ土地や建物への感謝、解体工事の安全祈願の意が込められています。

日本では古来より、自然のあらゆるものや普段使っている物などに魂が宿るという考えが根付いており、処分する場合にはお祓いで清めてから処分したほうがよいと信じられてきました。

そのため家の解体においても、家や土地を清めてから進めるケースが多いのです。

しかし、とくに法律で義務付けられているわけではないため必須ではありません。信仰心や気持ちの部分が大きいので、不要と判断する施主も多いです。

ただ、実際の工事が始まってから「やっぱりやっておいた方がよかったかも…」と考えても取り返しがつきません。

家や土地に愛着があり、心から感謝を伝えたいと考える場合は、気持ちを整理するためにも実施するのがおすすめです。

解体時のお祓いの種類は4つ

家の解体時におこなわれるお祓いには、以下の4つの種類があります。

種類内容
解体清祓(かいたいきよばらい)・解体する建物の魂や神に対して、これまで見守ってくれた感謝を伝える
・これからおこなう工事の安全を祈願する
魂抜き・建物や道具、仏壇などに宿っている魂を抜いて「ただの物」に戻す
・魂を抜いてから、建物や道具などの処分をおこなう
井戸祓・井戸を埋めたり、解体したりする際に実施する
・水の神様にこれまでの恵みに感謝する
・井戸を埋めて災いが起こらないよう、神様の許可を得る
樹木祓・大きな木や由緒ある木を伐採する際に実施する
・木の神様や精霊に感謝を捧げる
・神様や精霊たちを鎮め、災いが起こらないようにしてから伐採を進める

お祓いは、宗派や地域によってさまざまです。家族や親戚などと相談して、どのような形式おこなうのか検討しましょう。

家の解体時にお祓いを実施した方がよいケース

家の解体時のお祓いは必須ではないですが、「なにもしないのは少し気がかり…」と考える人も多いと思います。ここからは、お祓いを実施した方がよい3つのケースについて解説します。

  • ・土地や建物に対して感謝の気持ちを表したい
  • ・解体工事が無事に終わるように安全を祈願したい
  • ・霊的な影響や気の乱れが気になる

土地や建物に対して感謝の気持ちを表したい

長年住んだ土地や建物には、家族との思い出や歴史が詰まっています。それらはすべて土地や建物あってこそです。

そのため、今まで住んだ土地や建物に感謝の意を表すことは、とても重要な行為となります。

これまで家族の生活を守ってくれた家と土地に、お祓いを通じて感謝を伝えましょう。

解体工事が無事に終わるように安全を祈願したい

解体工事は、専用の大型重機を使って建物を取り壊すため、危険がともないます。そのため工事が問題なく終わるように、安全を祈る場合もお祓いはおすすめです。

先ほども触れたように、お祓いは場や身を清める行為です。実際の現場を清めることで、事故や災害から守ってくれると信じられています。

また、工事の安全を祈ることで、工事関係者全員が安心して作業を進められます。これは、精神的な面で工事を円滑に進める一助となるでしょう。

霊的な影響が気になる

古い建物や土地には、多くの人々の生活や思いが積み重なっているため、時には霊的な存在やよくない気が残っていると考えられます。「取り壊してバチが当たらないか」と心理的な不安を感じる人も少なくありません。

お祓いは、そんな霊的な存在を取り除き、精神的な安心感を得られることにもつながります。

また、土地や建物の歴史に一つの区切りをつけ、安心して工事を進められるきっかけになりますよ。

家の解体時のお祓いを実施する方法

お祓いをおこなう際は、お供え物を準備したり、流れを把握したりしておく必要があります。

ここからはお祓いを実施する際の、お供え物や流れについて解説します。

お供え物

お祓いをおこなう際、事前に用意すべきお供え物があります。これらは、神様や仏様への感謝と敬意を示すためのものです。

一般的なお供え物は、以下の通りです。

  • ・米:一合程度
  • ・塩:小皿一杯(粗塩)
  • ・酒(日本酒):一升
  • ・水:コップ一杯
  • ・海産物:鯛などの魚(尾頭付き)
  • ・山の幸:季節の野菜や果物

必要なお供え物は、寺社によって異なる場合があるため、事前に確認しましょう。

お祓いにかかる費用

一般的にお祓いは寺社に依頼し、敷地内でおこないます。儀式の種類や規模、寺社によって費用は異なりますが、50,000〜80,000円が相場です。

費用の内訳は以下の通りです。

内訳費用相場
初穂料(神社やお寺への謝礼金)20,000~50,000円
神社やお寺への交通代5,000~10,000円
お供え物代10,000円
食事代(参加者のお弁当代など)3,000~5,000円

お祓いの流れ

解体の際のお祓いは、通常30分〜1時間程度で完了します。一般的な流れは以下の通りです。

  1. 儀式の準備:神主が祭壇を設置し、お供え物を並べます。施主や家族は、指定された場所に並んで着席します。
  2. 開式の辞:神主が儀式の開始を告げます。
  3. 修祓(しゅばつ):神主が祓い串を振って、参列者と祭壇を清めます。
  4. 降神の儀(こうじんのぎ):神主が神様をこの場に招き入れます。
  5. 献饌(けんせん):神主が神様にお供え物を捧げます。
  6. 祝詞奏上(のりとそうじょう):神主が神様に対し、解体の理由や工事の安全を祈願する言葉を読み上げます。
  7. 玉串奉奠(たまぐしほうてん):施主や参列者が玉串を祭壇に捧げ、神様に祈りを捧げます。
  8. 撤饌(てっせん):お供え物を神様から下げます。
  9. 昇神の儀(しょうじんのぎ):神様を元の場所にお送りします。
  10. 閉式の辞:神主が儀式の終了を告げます。

お祓いの流れはそれぞれの寺社によって違うため、事前に流れを確認して参加者に共有しておきましょう。

家の解体時のお祓いに関するポイント

お祓いに関してはさまざまな準備が必要なため、分からないことも多いと思います。実施する際には以下のポイントを押さえましょう。

  • ・スケジュールに余裕を持って日程を決める
  • ・初穂料はのし袋に入れて渡す
  • ・自分たちだけで実施してもよい
  • ・お祓いに関して迷ったら解体業者に相談してみる

スケジュールに余裕を持って日程を決める

解体工事は、天候やほかの現場の状況によって日程が前後する場合があります。そのため、お祓いは解体工事の直前ではなく、ある程度の余裕を持って決めることが重要です。

工事が始まる日が確定した時点で、お祓いをお願いする寺社に連絡し、日程を調整しましょう。

初穂料はのし袋に入れて渡す

先ほども触れたように、「初穂料」と呼ばれる寺社への謝礼金を渡します。初穂料は、のし袋に入れて渡すのがマナーです。

のし袋は、紅白の蝶結びの水引がついたものを選びます。のし袋の上部には「御初穂料」と書き、下部には氏名をフルネームで記入しましょう。

自分たちだけで実施してもよい

自社に依頼せず、自分たちだけで実施しても問題ありません。たとえば以下の方法で実施します。

  1. 家の四隅と中央に、米、塩、酒をまいて清める
  2. 家に感謝を伝え、礼をする

かなり簡易的な流れですが、気持ちを込めて丁寧におこないましょう。

お祓いに関して迷ったら解体業者に相談してみる

お祓いに関して迷ったら、解体業者に相談するのもおすすめです。さまざまな解体工事のケースを見てきているため、参考になる話が聞けるかもしれません。

また、お祓いをしてくれる寺社のツテもあるかもしれないので、サポートしてくれるケースもあります。解体に関しての相談・打ち合わせとともに、相談してみましょう。

まとめ

家の解体時のお祓いは、とくに法律で義務付けられているわけではないため必須ではありません。ただ、家や土地に愛着があり、心から感謝を伝えたいと考える場合は、気持ちを整理するためにも実施するのがおすすめです。

実際の工事が始まってから「やっぱりやっておいた方がよかった」と後悔しないように、家族や親族と話し合って実施の有無を決めましょう。

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