「火事で建物が燃えてしまったけれど、解体費用はいくらかかる?」
「解体費用を少しでも抑える方法を知りたい」
このように不安を抱えている方は多いでしょう。火災後の建物の解体は、通常の解体とは異なる特殊な状況が多く、費用や手続きについて不明な点が多いものです。
しかし、適切な知識と手順を踏むことで、スムーズに解体を進め、費用の負担を軽減できます。
本記事では、火事にあったら解体前にやるべきことや、建物の解体費用の相場を解説します。さらに、火事で焼けた建物の解体費用を軽減する方法や、解体工事を依頼する時の注意点まで、わかりやすく解説します。
火事にあったら何をする?解体前にやるべき6つのこと
火災に遭った後は、気が動転して何をすべきか迷う方が多いです。火事後は慌てず、以下の6つを優先して取り組みましょう。
- 罹災証明書を発行する
- 保険会社へ連絡する
- 貴重品を回収する
- ご近所へお詫びと挨拶をする
- 解体工事会社に依頼する
- ライフラインを停止する
それぞれのステップで何をするべきか、次の項目で詳しく紹介していきます。
1.罹災証明書を発行する
火災で被害を受けた建物は、自治体で罹災証明書を発行します。罹災証明書は公的な支援や税の減免を受けるための重要な書類として扱われます。住宅の再建費用を補助する制度では罹災証明の提出が条件です。
また、保険請求や住宅ローンの減免などにも必要です。現地の写真を用意して、役所の窓口で手続きを進めていきましょう。
2.保険会社へ連絡する
火災保険を契約している場合は、保険会社に被害の報告を行います。保険金の支払いには、現場の写真や罹災証明などの提出が必要だからです。全焼か半焼かによって保険金の支払い額が大きく変わる場合もあります。
また、契約内容によっては解体費用までカバーされるケースもあります。契約内容を確認し、担当者に連絡して今後の流れを確認しましょう。
3.貴重品を回収する
火事のあとは、火の手が収まってからすぐに貴重品の回収を行います。時間が経つと風雨による腐食や盗難のリスクが高まってしまうからです。主に、以下の貴重品を優先して回収しましょう。
- ・通帳
- ・印鑑
- ・身分証明書
- ・保険証契約書
また、写真やアルバムなど思い出の品もできる範囲で回収しておくと安心です。現場に立ち入るときは、消防や警察の指示を守って安全を最優先に行動しましょう。
4.ご近所へお詫びする
近隣の住民に一言お詫びと挨拶をしておくことが大切です。煙や臭い、避難誘導などで迷惑をかけている可能性があるからです。「火事でご迷惑をおかけしました。今後の解体でもご協力をお願いします」と伝えましょう。
事前に伝えることで、今後の工事中の騒音や通行の不便にも理解を得やすくなります。 顔を合わせるのが難しいときは、手紙やメモなどで知らせます。
5.解体工事会社に依頼する
火災によりダメージを受けた建物は、専門の解体業者に依頼して撤去します。火事現場は安全管理が厳しく、経験のある業者でないと対応が難しいです。
依頼する際は、焼け焦げた梁や鉄骨の処分、建材にアスベストが含まれていないかの確認が必要です。まずは、火災現場の解体に対応しているか確認し、見積もりを依頼しましょう。
6.ライフラインを停止する
火災後は、水道・ガス・電気などのライフラインを早急に停止します。残った配線や配管が損傷していると、二次被害の原因になるためです。たとえば通電火災やガス漏れによって、再び火災が起きる危険もあります。不明な点は工事業者にも相談しながら、順序立てて進めましょう。
火事で焼けた建物の解体費用の相場
火災で焼けた建物の解体は、通常の解体よりも費用が高くなる傾向にあります。理由は、焼け残った建材の処分や、建物の安全確保に手間がかかるためです。火災後の建物の解体費用の坪単価や、坪数の相場は以下の表のとおりです。
構造別の坪単価の相場
| 構造 | 木造 | 鉄骨造 | 鉄筋コンクリート造 |
| 坪単価 | 約2万〜5万円 | 約4万〜6万円 | 約5万〜7万円 |
坪数ごとの相場(全ての構造含む)
| 坪数 | 相場 |
| 30坪 | 約50〜180万円 |
| 50坪 | 約140〜300万円 |
| 100坪 | 約290〜600万円 |
火災現場では安全対策や廃棄物の分別処理など、通常以上の作業が求められるため、その分コストも膨らみます。地域差や立地条件も影響するので、最終的な費用は業者の現地調査によって見積もってもらうのが確実です。
火事で焼けた建物の解体費用を軽減する方法
火災後の解体は費用が高くなりがちですが、事前の工夫次第で出費を抑えることも可能です。以下の5つの方法は、無駄を省きつつ必要な解体を安全に進めるために役立ちます。
- ・事前にゴミを自分で片付ける
- ・複数業者から見積もりをとる
- ・火災保険を使う
- ・減免制度を利用する
- ・補助金制度を利用する
事前にゴミを自分で片付ける
焼けた家財や不用品を自分で整理しておくと、処分費用を下げられます。解体業者にすべて任せると、分別や搬出に手間がかかり、その分料金が上乗せされるからです。たとえば、金属や家電、可燃ゴミなどを分けて自治体の回収日に出せば、処理費が節約できます。
また、作業範囲が減ることで、解体の工程もスムーズになります。安全が確認されてから、焦らず少しずつ整理していきましょう。
複数業者から見積もりをとる
相場を知るには、最低でも2〜3社に現地見積もりを依頼しましょう。業者によって費用や対応内容が大きく異なり、比較することで適正価格が見えてくるからです。
たとえば、ある業者では180万円と言われた工事が、別の会社では130万円になるケースもあります。また、火災解体の実績があるかどうかも確認しておくと安心です。
相見積もりをとるだけでも、予算の無駄を防げます。
火災保険を使う
火災保険に加入しているなら、解体費用も補償の対象になる場合があります。全焼や半焼と認定されると、建物の撤去費が保険金から支払われることがあります。たとえば、以下の名目です。
- ・焼失家屋の撤去費用
- ・損害復旧費用
契約内容によって金額や範囲が異なるため、早めに保険会社へ確認することが重要です。また、書類や証拠写真も忘れずに準備しておきましょう。
減免制度を利用する
火災被害を受けた住宅では、固定資産税や都市計画税の減免が受けられることがあります。自治体が罹災証明に基づき、課税対象から建物を外す措置を行う場合があるからです。
たとえば、年の途中で全焼した住宅について、残りの月の税金が免除されることもあります。減免の条件は自治体ごとに異なるため、住んでいる市区町村のホームページを確認しましょう。
補助金制度を利用する
一部の自治体では、火災後の建物撤去に補助金を支給しているところもあります。被災者の生活再建支援として、解体や撤去費用の一部を助成する制度があるからです。ただし、申請期間や対象要件が厳しく、罹災証明の有無などが審査に影響します。補助金制度は役所の担当窓口に早めに相談してみましょう。
火事後の解体工事を依頼するときの注意点
火災後の解体工事は、通常とは異なるリスクや手続きがあるため、事前の確認が欠かせません。以下の2点を押さえることで、損をせずトラブルを防げます。
- ・火災保険の適用範囲内か調べる
- ・解体業者は経験豊富な業者を選ぶ
火災保険の適用範囲内か調べる
加入している火災保険が、工事の費用も適用範囲内か調べます。解体費用を保険でまかなえるかどうかは、契約内容により異なるからです。
たとえば、全損と認定されたときだけ、解体費用も一部補償される場合もあります。また、損傷の程度や申請時期によっても支払い条件が変わることがあります。契約書や保険会社の担当者と、早めに内容を見直しておきましょう。
解体業者は経験豊富な業者を選ぶ
火災後の現場には、構造の崩壊や有害物質の飛散といった危険があります。そのため、火災現場の解体に慣れた業者に依頼することが重要です。たとえば、アスベストや油の焼け跡などへの対応経験があると安心です。
また、罹災証明を前提とした補助金や減免申請にも詳しい業者だと手続きもスムーズに進みます。依頼する際は、ホームページや口コミで実績を確認し、慎重に選びましょう。
火事後の建物の解体をスムーズに取り掛かろう
火災にあったあとは、不安や混乱でどう動いていいか迷うかもしれません。しかし、本記事で紹介したやるべきことを行えば、解体工事も安心して進められます。
火事にあった際は、焦らず一つ一つ丁寧にやるべきことを進めていきましょう。解体工事を依頼する際は、火事の解体に強い信頼できる業者を選ぶことをおすすめします。